主要顧客である企業の製造が国外に移管されることによって、国内拠点が存続の危機にさらされる事例は枚挙にいとまがない。本書はそうしたことにあおりを受けた中小企業が国内にとどまりながら、事業を変えず、新たな業界での新しい顧客をつかむことにより、多くの事業者が存続を可能にした長野県諏訪地域をモデルとして書かれている。またそこでの活動は企業のみならず行政での産業のマッチングなどにも注目している。
序章 日本の成功事例、現場からのモデル構築 第1章 事業転換の基礎パターン〜既存事業の日常的なアレンジ〜 第2章 顧客を惹きつけるコアサービス〜新製品普及の支援〜 第3章 新しい取引関係の構築〜地道で多様な顧客との接触〜 第4章 地域からの支援〜域外顧客との接触への後押し〜 第5章 導きだされたモデル、未来への可能性
岸本太一:一橋大学卒業博士取得後、2009年より東京大学ものづくり経営研究センター特任助教となり、中小企業を研究。近年は海外進出での成功要因を探求している他「長期存続中小企業プロジェクト」を行う。主な著書に『技術とマーケットの相互作用が生み出す産業集積のダイナミズム:諏訪地域では、なぜ競争力維持が可能だったのか』(共著)、中小企業基盤整備機構経営支援情報センター、「利益率に見る中村改革」『松下電器の経営改革』(第8章)、有斐閣などがある。
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