近年、納税者の権利意識の高まりとともに租税に関する訴訟が多くなっている。内容も日本国内の事案に限らず、外国との取引や納税者の住所地の問題など多岐にわたっている。納税者と課税庁の見解が分かれた場合、租税判例を学ぶことは解決のための判断のよりどころとなる。 本書で取り上げた22の判例は、法学研究科や法科大学院の演習で使われている判例の中から選んだもの、租税実務に携わっている税理士等に参考になると思われる判例だ。これらの判例を、研修用資料として作成し、実際に使用したレポート及び未使用のレポートを加筆修正して掲載した。 租税法を勉強されている方、税理士、公認会計士等租税の実務に関わっておられる方の参考書。
<委任立法及び遡及立法> (1)政令委任の限界 (2)改正税法の不利益遡及適用と租税法律不遡及の原則 <所得税関係> (3)夫婦財産契約と所得の帰属 (4)土地の譲渡が売買か交換か争われた契約行為(岩瀬事件) (5)登記名義と所有権及び譲渡所得の帰属(離婚に伴う土地の財産分与) (6)農地転用決済金の譲渡費用性 (7)変則的定年退職金に関する課税(退職の事実認定) (8)土地の時効取得による一時所得の発生時期 <法人税関係> (9)NPO法人に対する収益事業課税(流山訴訟) (10)過払電気料金等の返戻による収益の計上時期 (11)交際費等の意義および判定要件(萬有製薬事件) (12)企業の一部門の譲渡と営業権の引き継ぎ <相続税関係> (13)共同相続人に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力 (14)特別縁故者への相続財産分与 (15)相続税法34条1項の連帯納付義務に係る確定手続の要否 <消費税関係> (16)帳簿等の提示がない場合の仕入税額控除の可否 (17)仮名仕入れと仕入税額控除 <その他> (18)帳簿提示拒否が青色申告承認取消事由に該当しない場合 (19)納税者の意思に基づかない修正申告の効力 (20)税務調査における調査官の行為の違法性(北村事件) (21)反面調査 (22)「つまみ申告」と重加算税
税理士(1991年登録) 主な著書『判例からみた租税法の諸問題』(日本税務研究センター)、東京地方税理士会編『税務行政手続改革の課題』(第一法規)、「イギリスの税務オンブズマン制度」『波多野弘先生古希記念祝賀論文集』(清文社)など
Copyright © 2007 Doyukan. All Rights Reserved.