クラブメッドのシンプル・エクセレンス

Posted by 著者ブログ | Posted in シンプル・エクセレンス | 投稿日: 2010年03月17日

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第6章に、「シンプル・エクセレンス」というワードが出てきます。本文では、顧客と直接接触する従業員が、顧客へ感動経験を提供できるように構築されたオペレーションの基本的な骨格と説明されています。つまり、現場社員にも簡単にできるようにシンプルなオペレーションであるが、うまく仕組まれているので顧客が感動してしまう、そんな取り組みのことです。

シンプル・エクセレンスの事例として、インドのダバワラが取り上げられています。ダバワラは、お弁当のデリバリーサービスですが、読み書きのできない従業員でも、お弁当を間違いなく配送できるようなシステムが紹介されています。(詳しくは、本をごらんください)

先日、クラブメッドのバリ島へ行ったのですが、そこでシンプル・エクセレンスの事例を発見しました。

クラブメッドの従業員が、あちこちで、あるカップルに、「ハッピー、ハネムーン」と声をかけていました。事前に、ハネムーン客が来ているとわかっていても、どのお客さんかを特定するのは難しいはずです。たくさんのお客さんがいる中で、なぜ多くの従業員が、そのカップルがハネムーンであることがわかるのか、最初は私にはよくわかりませんでした。でも、よく観察すると、従業員はカップルの手首をチラッと見てから、「ハネムーンなんですね。楽しんでください」などと声をかけています。

実は、クラブメッドのバリに宿泊するお客さんは、全員、手首に色のついたひもを結ばれています。チェックインのときに「クラブメッドに宿泊している方と外部の方を見分けるために、ひもをお付けいただいております。バーなどでは、このひもを見せていただければ、飲み物は無料でお飲みいただけます」と説明されます。従業員は、そのひもの色でハネムーン客を判断しているのです。ピンク色のひもをした人が、ハネムーンです。私たちは、グリーンのひもでしたので、一般の(VIPではない)大人客でしょう。アルコールを提供できない子供客も別の色にしていました。もちろん、VIPも区別されています。

このように、単純な工夫ではあるけれども、これによって現場の社員が適切な対応をすることができます。たくさんの従業員に声をかけられていたカップルは、照れながらも、嬉しそうでした。おそらく、次の旅行もクラブメッドでしょう。大したコストはかからないのに、大きな武器になっていました。

黒岩健一郎

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