第5回「502教室のコラム」

三上康一(中小企業診断士)

どうすれば合格できるのか――。

私は、診断士を目指し、年間1,000時間もの受験勉強をしていました。そんな中、4回目の不合格を知った瞬間に頭をよぎった台詞が、これです。それまでは、「勉強さえすれば、合格できる」と信じて疑いませんでした。しかし、どんなに勉強しても結果は不合格。私は頭を抱えました。

さて、2次試験に合格すると、502教室にリンクしているブロガー受験生の多くが、ご自身のブログに合格体験記を書き始めます。受験勉強をいかに行ったか、モチベーションをいかに保ったか、本試験時はいかに対処したかなど、実にさまざまな勉強方法や考え方が紹介されています。そして、その多くからは、2次試験を突破し、実質的に診断士になれたという達成感、惜しくも合格できなかった方への気遣い、そして後輩受験生の力になりたいという思いが伝わってきます。ちなみに、私も合格したときは、多くの方と同様、合格体験記をアップしました。

そんな私も、4回目の不合格を経験するまでは、こうした体験記を読むことはあっても、あくまでも他人事と捉えていました。「この人はこのようにして受かった。しかし、私は私なりの方法で合格する」。そんなことを思いながら、読んでいたのです。でもそれは、悔しさの表れだったのかもしれません。ただ、診断士試験は「たまたま」や「まぐれ」で受かることはありえない難関試験だと感じて初めて、自身で勉強方法を考え出すより、実際の合格者がとった方法を参考にする(できるならそのまま取り入れる)ほうが早く合格できるのではないか、と思うようになりました。

それ以来、合格者のブログに書かれた勉強方法や考え方を取り入れるべく、積極的に読むようにしました。「この方の勉強方法は、私の方法のどんな欠点を補うことができるのだろうか」、「この方の考え方を取り入れることで、私はどんな効果を得られるだろうか」と考えながら読んでいると、非常に示唆に富む記事がみつかります。そのまま取り入れられるものもあれば、自分なりのアレンジが必要なものもありました。具体的には、「2008年度版中小企業診断士2次試験 受験生最後の日 3つのドキュメント」(小社刊)を私とともに執筆した1人であるオレユニさんの「オレユニ通信」などが、大変参考になりました。

それとともに、受験生時代から、どのような合格体験記を書こうかと考えながら勉強するようになりました。合格体験記が、「毎年1,000時間勉強した」だけでは、受験生の参考になるはずもありません。また、後づけの合格体験記にもしたくはありませんでした。ですから、私が将来ブログにアップするであろう合格体験記には、勉強方法や考え方、本試験当日の取組みを盛り込むつもりでした。その記事を読んで、受験生が納得してくれるかどうかを考えながら、勉強に取り組みました。

結果的にこのことが、自身の受験に関する取組みを客観的に判断することにつながりました。それまでは、自分で勉強方法を決め、それに従って勉強していましたが、独りよがりの勉強方法になっていたかもれない、と思うようになりました。さらにその視点は、2次試験で独りよがりの解答を書かなくなったという点でも、大きな役割を果たしたように思います。

私が合格した大きな要因は、合格者のノウハウを受け入れられるようになったことでしょう。一般的に、経営資源が豊富ではないといわれる中小企業ですが、その経営者は使える経営資源を最大限活用して、収益を得ようとします。中小企業を支援する中小企業診断士を目指す受験生の皆さんも、使える「受験資源」は最大限に活用し、早期に合格を勝ち取ることを望みます。

オレユニ通信
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