|
|
 |
石油地政学の新要素
石油情勢に影響を与える諸要素
|
| 著者名 |
須藤繁 著 |
| 判型 |
四六/並製 |
| 頁数 |
280 |
| 定価 |
1,890円 (本体1,800円+税) |
| ISBN |
9784496046360 |
| 第1刷 |
2010年02月24日 |
|
|
この本の内容
石油と石油価格の行方を探る
●なりふりかまわぬ中国のエネルギー政策、ロシアの石油・ガス開発の行方、アフリカ諸国の石油資源開発の動向など、石油を取り巻く環境は、今や世界の混乱を招きかねない危機的状況にある。
●「石油の金融商品化」の克服と「資源ナショナリズム」への対応は、人類が知恵を絞らなければならない大問題である。
|
この本の目次
第1章 石油問題の本質と所在
第2章 2004〜2008年の原油価格高騰の背景
第3章 中国の石油資源戦略
第4章 ユーラシアの石油地政学
第5章 イラク戦争と石油(中東産油国の動向)
第6章 石油資源に関する議論の潮流
第7章 グリーンニューディールの意義と不確実性
第8章 2010年代の石油情勢
|
本書の「中身拝見」
はじめに
21世紀の最初の10年が終わろうとしている。この10年間は、前の10年間と比べて時代の相を明らかに異なるものにした。1990年代は、グローバリゼーションの最盛期ともいうべき時代であったが、2001年9・11(同時多発テロ)により、時代相は「統合」から「分裂」に変わった。
9・11の衝撃は国際政治のみならず、世界構造そのものを一変させたのである。
世界経済は、それでも空前の金余り現象(2007年のサブプライム・ローン問題の発生まで、自己増殖していった。
「満つれば欠ける」のは、洋の東西を問わず文明消長の原則である。2008年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻に伴う信用収縮による国際金融危機は、世界不況の原因というよりは、満ち過ぎた経済の欠けていく過程に他ならないように感じられる。
いずれにせよ、2008年夏には既にバブルは弾け、世界経済は低成長時代に移行した。このマクロ的には低成長――実態的にはBRICsを中心とする高成長の持続、先進工業諸諸国の飽和・ゼロ成長、発展途上国経済の伸び悩み、最貧国経済の離陸(テイクオフ)の遅れという世界の多極化は、当面世界経済の底流をなすものと思われる。
本書は、こうした大局観に基づき、21世紀最初の10年間の石油情勢を概観しながら、来るべき2010年代の石油情勢に潜在的に影響を与える諸要素を考察したものである。
まず、第1章(石油価格の変化と産油国経済)では、世界最大の石油供給地域である中東産油国経済の抱える潜在的な課題をまとめた。中東産油国経済は、基本的には多角化という方向に向かっているが、その背景には、急速な人口増、雇用機会を創出のニーズがある。中東産油国にとって石油産業そのものの重要性は変わらないとしても石油産業のみでは経済が回らなくなるので、非石油分野の工業化を同時に進めていかなければならない。
また、第2章から第5章までは、中国、ロシア、中央アジア諸国、欧州が直面している諸問題を、石油・天然ガス供給、代替燃料開発の点から論じた。これらは、2004〜08年における所属機関機関誌やブログへの掲載原稿を加筆したものであるが、初出は巻末記載のとおりである。
第2章は、アフリカ石油資源開発の現状を、主に中国の進出との関連で論じ、第3章は、「ロシアはエネルギー供給国として信頼できるか」という問題意識に基づき、冷戦終焉後のロシアの石油情勢を概観した。また、第4章は、今後、世界の石油需給が逼迫し、原油生産余力がなくなってくる中で、数少ない大幅な増産が期待できる地域である中央アジア・カスピ海周辺諸国の石油・天然ガス事情を概観した。同地域はエネルギー安全保障の観点から地政学的リスクの高い中東地域への一極集中を回避できる有望な産油国として位置付けることができる。第5章は、近年エネルギー安全保障の議論が活発におこなわれているEUが直面している課題を取りまとめた。
次に、第6章(石油資源論の潮流)、第7章(グリーン・ニューディールの意義と不確実性)、第8章(二一世紀初頭の時代観)は、雑誌投稿論文ないしは講演内容を柱に据え、その後の動向を加筆してまとめたものである。第6章は、ピークオイルに関する議論の到達点、第7章は、グリーン・ニューディール政策の新エネルギーの開発・普及(産業創生)と景気対策という両用の意味合いに関し、意義と不確実性を考察した。第8章は、それらを総括する形で、2010年代を展望すべく、二一世紀初頭の時代相に関し、平素考えているところをとりまとめた。
各章は、根本のところでは国際石油情勢に影響を与えるという点でつながるものであるが、テーマとしてはそれぞれ独立しているので、どの章からお読みいただいても、読み進む上で問題はないと思われる。
|
著者の情報
石油連盟在勤中、サウジアラビア、ロンドン等での海外勤務を広範囲に経験。上流・下流部門を問わず石油・エネルギー関連の調査・分析には定評があり、国内外にて幅広く活躍中。三菱総合研究所を経て、現在、(財)国際開発センターエネルギー・環境室研究顧問
|
|
|
|
 |

|